デッキを囲むのは、後藤さんの好きな「雑木の庭」。家の相談も庭の相談も一緒に引き受ける。
—家を建てようと考えている人で後藤さんをおすすめしたいのは、どんなタイプの人ですか?
- 梨沙
- 外遊びが好きな人?
- 悠
- うちに遊びに来てもらって「いいな」と思ってくれた人に「後藤尚樹さんの設計だよ」ってすすめると、その後決めたりするよね。今のところひと家族だけだけど(笑)。
- 真理
- 外でごはんを食べるのが気持ちいいなと思う人は合ってると思います。
- 康子
- 派手さがなく、つくり込み過ぎない。そういう感覚に共感する人にもおすすめだよね。
- 梨沙
- そうそう。家はあくまで箱で、主役は家族みたいな。
- 真理
- 建物が目立つのではなく「昔からそこにあった」みたいな建物も特徴なので、その地域に自然に溶け込みたいという人にも合っていると思います。うちは神社となじみ過ぎて、参拝に来た方が社務所と勘違いして入ってくることもあります(笑)。あと、他の人が家を建てたがらないような、条件が悪そうな土地に惹かれるのも主人の特徴ですね。私もこの家が建つ前は全然いい土地には思えなかったので。
—最後に後藤さんから今後やってみたい家づくりについて聞かせてもらえますか?
- 後藤
- 家というよりも泊まれるスペース、民泊をつくりたいなと思っています。それを小屋みたいな大きさで実現したいですね。僕は家具が好きなんですけど、家よりも細かく設計されている家具をつくるような感覚で設計してみたくて。具体的には10畳くらいの広さで、お風呂とかも全部入っていて一人で住めるような小屋です。
新婚旅行でコルビュジエが晩年を過ごした「カップ・マルタンの休暇小屋」を訪れたんですが、そこは10畳くらいの部屋の中が家具で仕切られていて一人で十分生活できるつくりになっていました。中にキッチンはないですが、隣にレストランがありました。高台に立っていて海がよく見えるのも素敵で。そんな建物をつくりたいです。
後藤家の屋根の上には神社の松。時折掃除に上がっては景色を楽しんでいる。
- 真理
- それいいね。それで仲のいい人で集まって住む、居心地のいい老人ホームみたいな場所をつくってほしい。プライバシーはあるんだけど、いつでも集えるようなちょうどいい距離感になりそう。
- 康子
- そういう選択肢があるといいよね。畑があって、みんなで動物を飼ってシェアする。
- 梨沙
- いいねいいね。村がつくれるね!
- 後藤
- あ、僕は村はつくらず一人で過ごすような場所にしたいんだけど…。
- 悠
- 僕も一人で過ごす小屋に賛成!
構成・文章(本文):鈴木亮平(Daily Lives Niigata)
撮影・キャプション:亀貝太治(Kamegai Art Design Co.)